北のらくだの停留所

砂漠で本領を発揮するらくだは北国で何の役に立つのだろうか?

スパルタスロンとは真のマラソンである

Cap_muraです。

 

 

導入:真のマラソンとの出会い

私がフルマラソンを完走したことは以前書きましたが、そもそも走り始めたきっかけは痩せるためでした。就職して仕事を始めて半年ちょっとで15 kg太ってしまったので、慌てて走りこんで半年で15 kg絞りました。最初の1か月は毎週2 kgずつ痩せていきました。つまり、痩せたければ世に蔓延るダイエット商法なんか真に受けずにですね、しっかり走り込みをするだけでいいんですよ、喝だ喝!!!(by 私の中の張本勲)

さて、ある程度走れるようになってくると世の中にはどんなレースがあるのか気になってきます。そこで「スパルタスロン(Spartathlon)」というレースを知ったとき、戦慄したのです。「こんなにヤバいレースが実在するのか、今まで私が走ったマラソンはマラソンではない、スパルタスロンこそ真のマラソンではないか」、そう思ったら気になって参加したくなってきました。 

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スパルタのイメージ(mohamed HassanによるPixabayからの画像)

ラソンはマラソンじゃない証明

「マラソン」の由来となったマラトンの戦い

https://www.y-history.net/appendix/wh0102-068.htmlによると、マラトンの戦いとは紀元前5世紀のギリシャペルシャで起きた戦いだそうです。アテネ近くのアッティカ半島の東岸のマラトン(Marathon)に上陸したペルシア帝国遠征軍と迎え撃ったギリシアとの戦いです。地名のマラトンを英語読みするとマラソンになります。

 

由来となった有力な逸話とその検証

https://melos.media/hobby/1407/によると、マラトンの戦いでの逸話がマラソンの由来になっていますが有力な説が2つあるそうです。

1つ目は勝利の報告を本国に知らせるために伝令が走った説です。

ペルシア軍をマラトンで破った一報を知らせるために、マラトンから本国のアテナイ(アテネの古名)まで約40 kmをフィリッピデス(Philippides)という名の伝令が走って伝えた説です。

 

2つ目は援軍を求めるために伝令が走った説です。ペルシア軍を迎撃する援軍を求めるためフィリッピデスという名の伝令がアテナイからスパルタまで約250 km走ったという説です。

 

2つの説がありますが、桜井と橋場(2004)によると、後者が古代ギリシャの歴史家ヘロドトスペルシア戦争について書いた『歴史』という著作に記されているそうです。そのため後者の信ぴょう性が高いと考えられます。前者についてはプルタルコスの『倫理論集』などにそれに近い話が出てきますが、伝令の名前はエウクレスとなっていて、違う名前で記されているそうです。

 

つまり「42.195 km走るマラソン」というのはマラトンの戦いの史実と合致しないのです。だからマラソンはマラソンじゃない!(Q.E.D.??) そこで史実に忠実な真のマラソンは2つ目の説にある通り、アテナイ-スパルタを走ることではないか、と私は思います。ここでやっとスパルタスロンの話ができます。

 

史実に由来するレース:スパルタスロン

スパルタスロン公式サイト(日本版)

www.r-wellness.com

 サイト内の「スパルタスロンのご紹介」にあるレース設立の経緯が秀逸なので紹介します。

ヘロドトスによるマラトンの戦いの記述では伝令のフィリッピデスは「出発の翌日に」アテネからスパルタに着いたとしています。そこでとあるイギリス王立空軍の空軍中佐は「36時間以内に現代人がアテネからスパルタへの約246 kmを走破できるのか」と訝しがりました。そこで彼は空軍の同僚と実際にヘロドトスの記述に忠実に走ってみたところ、なんとか36時間で走破できたみたいです。この試みの成功の後に古代ランナーの軌跡を辿るためのレースとして1983年より毎年国際レースとして開催されるようになりました。

 

軍人が何とかクリアできたことからそのハードさは想像に難くありませんが、無謀な挑戦を防ぐために厳しい参加条件が定められています。

「○○kmを△△時間以内で完走」「□□時間レースで☆☆km以上走る」など条件があります。その中で一般人に一番近いハードルが「100マイルレースにおいて、21時間(男性)または22時間(女性)で完走したことがある。」だと参加を狙う私は考えています。それ以上の距離のレースは数が限られる上に参加条件も厳しいです。逆にそれより短い距離だとかなりのスピードが求められます。ダメ押しに、2021年以降は120 km未満のレースは参加資格基準として認められなくなることが正式に決まっています。

 

スパルタスロン参加までのロードマップ案

そこで北海道在住の私が考えた理想的な挑戦資格獲得までの流れは

1.2020年7月に大雪山トレイルジャーニー(70 km以上のトレイルランニング)完走

=KOUMI 100 mile の出場資格クリア

2.2020年10月にKOUMI 100 mileを21時間以内で完走

=スパルタスロン出場資格クリア(一般エントリー枠)

3.2021年2月にスパルタスロンの参加申請、9月に出走

 でした…。

 

しかし大雪山トレイルジャーニーが中止になりました、残念。

taisetsuzan-ultratrail.com

計画が単純に最低1年は後ろ倒しになっちゃいました。

これにいじけず、古代の試練を乗り越えた勇者に思いを馳せつつ、地道に体作りと練習をして備えます。

それでは。

 

参考文献・サイト

www.y-history.net

melos.media

桜井万里子・橋場弦『古代オリンピック』2004 岩波新書